請求書の未払いで利用する内容証明を解説!書き方や例文も紹介

記事公開日:2025年10月23日

最終更新日:2025年10月23日

請求書を送付しても入金がなく、電話やメールでの催促にも応じてもらえない場合、次の手段として検討されるのが「内容証明郵便」です。これは郵便局が文書内容を公的に証明する仕組みで、未払い対応に強い効果を発揮します。

本記事では、内容証明の基礎から活用の流れ、内容証明が必要となるケース、そして書き方や例文、提出方法までを詳しく解説します。

内容証明とは?

内容証明とは、差出人が作成した謄本(内容文書の写し)によって、差出人が相手に送った文書の内容を日本郵便が証明する制度です。

通常の郵便では送達や受領は確認できても、文面の正確な記録は残りません。内容証明を使えば「誰が、いつ、どのような内容を送付したのか」が公的に残り、後のトラブル時に強い効力を発揮します。

請求書の未払い対応では、法的証拠としての役割に加え、取引先に「法的手段を検討している」という意思を示す効果も期待できます。

配達証明との違い

配達証明郵便は「相手が郵便物を受け取った事実」を証明する制度であり、文面までは確認できません。一方、内容証明は「送った内容そのもの」を公的に残せる点が特徴です。

請求書の未払いでは、配達証明だけでは「何を請求したのか」が立証できず、証拠としては不十分です。そのため、実務では併用することが多くあります。

配達証明で「受領事実」、内容証明で「請求内容」を押さえることで、債権回収に必要な証拠を二重に確保できます。

請求書の未払いに内容証明が必要なケース

すべての請求書の未払いに内容証明を送る必要はありません。具体的には、以下のケースで内容証明が必要になります。

  • 電話やメールでの督促を行っても反応がない
  • 支払期日を大幅に超過している
  • 消滅時効が迫っている
  • 高額の未払いで貸倒リスクが大きい

つまり、「通常の督促では解決が見込めない」「放置すれば損失が拡大する」と判断した段階で、内容証明を選択肢に加えるとよいでしょう。

請求書の未払いに対して内容証明を利用する目的や効果

内容証明の目的は、未払いに対して支払義務を公式に明確化することです。

取引先にプレッシャーを与えるだけでなく、債権の消滅時効を中断したり、裁判での証拠として利用できたりするなど、さまざまな効力があります。さらに、確定日付を取得すれば債権保全の優先順位を示す手段にもなります。

ここでは、内容証明を利用する目的や効果を5つの観点で確認していきます。

請求書の内容証明の目的や効果

相手へ心理的な圧力を与える

内容証明郵便は通常の手紙と異なり、受け取った取引先に「法的手段に発展する可能性がある」と強く意識させます。

また、取引先が内容証明郵便を受領する際には押印が必要です。そのため、支払いを軽視していた取引先に緊張感を与え、迅速な入金を促す効果が期待できます。

実際、裁判に発展しなくても、内容証明を受け取った段階で支払いに応じるケースは多くあり、円滑な回収を実現する有効な一手となるでしょう。

売掛金の消滅時効を中断させる

売掛金には時効が存在しますが、内容証明による請求で時効を中断できます。

消滅時効は通常5年ですが、内容証明を送ればカウントがリセットされます。これにより、未払いのまま時効が完成して債権を失うリスクを回避できます。

「時効が迫っている債権」に特に注意し、適切なタイミングで内容証明を送付することで、債権保全の可能性を高められます。

裁判での法的な証拠にする

もし訴訟に発展した場合、内容証明は請求した事実を立証できる証拠となります。

通常の郵送では文面や送付日時を証明できませんが、内容証明であれば郵便局が公式に記録しているため、裁判所でも有効な証拠として扱われます。

将来的な訴訟リスクを見据え、請求プロセスを記録として残すことの重要性を理解しておきましょう。

確定日付を取得できる

確定日付は「特定の日にその文書が存在していたこと」を公的に証明する制度です。内容証明を利用すれば「確定日付」を取得できます。

確定日付は主に、債権の優先順位や契約の有効性を裏付けるために活用されます。特に倒産リスクがある取引先に対しては、確定日付を確保しておくことで回収可能性を高める手段となります。

相手へ遅延損害金を請求する

請求書の未払いが続く場合、内容証明で「支払期日と遅延損害金の発生」を明記することで、追加請求の根拠を作れます。

取引先にとっては支払遅延が経済的負担を伴うことになり、対応を促す圧力となります。なお、遅延損害金の金額は、内容証明郵便の送達日から起算して算出されることが一般的です。

請求書の未払いに対する内容証明の書き方・例文

内容証明の文面は、請求金額や支払期日、未払いの事実を明確に記載することが基本です。感情的な表現を避け、客観的かつ簡潔にまとめるのがポイントです。

「請求日」「請求額」「入金期日」「支払いが確認できない旨」を明記し、期限までに履行がなければ法的手段を取る可能性があることを淡々と記すとよいでしょう。

ここでは、内容証明の具体的な書き方を解説します。

内容証明の用紙や形式

内容証明は専用の用紙に書く必要はなく、通常の用紙で構いません。ただし、日本郵便が定める形式に従う必要があります。手書き・パソコン、横書き・縦書きのいずれでも可能ですが、印刷は片面のみで両面印刷は不可である点に注意が必要です。

内容証明の作成通数

内容証明は必ず3通作成します。差出人控え、郵便局保管用、相手方送付用です。この仕組みにより、差出人と郵便局双方が証拠を保管でき、後のトラブル時に確認が可能となります。

内容証明の字数・行数制限

内容証明には文書一枚あたりの文字数や行数の制限があり、横書きの場合は「1行20字以内、1枚26行以内」などのルールが存在します。字数・行数の制限はありませんが、超過する場合は複数枚に分けて作成します。

詳しくは以下のとおりです。

左右にスワイプ可能です
字数・行数制限
縦書き 1行20字以内、1枚26行以内
横書き
  • いずれか一つに該当していること
1行20字以内、1枚26行以内
1行13字以内、1枚40行以内
1行26字以内、1枚20行以内

出典:日本郵便「内容証明 ご利用の条件等」別ウィンドウで開きます

  • 括弧や単位などの特殊な文字を使用する際は、字数の計算が異なる点に注意しましょう。日本郵便の案内に従って、詳細を確認して正確に書き起こす必要があります。

内容証明の記載項目と例文

必須の記載項目は以下のとおりです。

内容証明に必須の記載項目5つと例文
  1. 1. 書類の作成年月日
    作成日を記載し、いつの時点で期日を超過しているかを伝えます。
  2. 2. 表題
    一般的には「請求書」「催告書」といった表題を付けます。
  3. 3. 受取人の住所・社名・代表取締役名
    個人の場合は自宅住所、法人の場合は所在地を記載し、受取人となる取引先の社名と代表名も必ず記載します。
  4. 4. 差出人の住所・社名・代表取締役名
    自社の所在地、社名、代表名を記載します。
  5. 5. 通知内容
    一般的には以下の内容を記載します。
    • 支払期日までに入金がない旨
    • 請求金額の支払期日
    • 請求金額(商品代金など)、遅延損害金

これにより、請求の正当性を客観的に示せます。必要に応じて遅延損害金の発生日や法的手段への移行を明記することもあります。

内容証明郵便の提出方法

内容証明は郵便局の窓口で提出します。事前に文面を3通作成し、封筒や必要書類を用意して持参します。係員の確認後、手数料を支払うと受理されます。差出人には控えが交付され、これが後の証拠となります。

必要書類の準備

内容証明には以下のものが必要となります。

  • 原本1通(差出人控え)、謄本2通(郵便局保管用、相手方送付用)
  • 差出先と差出元の住所、社名を記載した封筒
  • 郵便料金(料金の詳細はこちらをご確認ください)

不備があると受付されないため、事前に郵便局の公式サイトで確認するか、窓口に相談しておくと安心です。

郵便局の窓口への提出

内容証明を出せる郵便局は限られています。つまり、全国どこでも出せるわけではなく、対応できる郵便局でのみ受付が可能です。

窓口で係員が文面を確認したうえで、証明料・書留料を支払います。受付後、差出人には控えが交付され、これが公式な証拠となります。

インターネットで内容証明郵便を24時間発送できる「e内容証明(電子内容証明)」というサービスもあります。用途に合わせた差出方法を選択できるため、詳しくは「日本郵便 e内容証明(電子内容証明)別ウィンドウで開きます」をご確認ください。

配達状況の確認

送付後は追跡番号を利用して配達状況を確認できます。配達証明を併用していれば、相手が受領した日付も記録されます。支払督促の進捗を確認するために配達記録を保存しておくことが重要です。

内容証明の利用にかかる費用

内容証明郵便には、基本料金に加えて証明料・書留料などがかかります。

郵便局の窓口を利用する場合

窓口で一通送付する場合の最低料金は合計1,070円です。内訳は以下のとおりです。
(2025年10月23日時点での内容)

  • 内容証明の加算料金:480円(2枚目以降は一枚あたり290円加算)
  • 郵便物の料金:110円
  • 一般書留の加算料金:480円
  • 速達・配達証明などのオプションサービスを利用する場合は、別途料金がかかります。

参考:日本郵便「内容証明 ご利用の条件等」別ウィンドウで開きます

e内容証明(電子内容証明)を利用する場合

窓口で一通送付する場合の最低料金は合計1,295円です。内訳は以下のとおりです。
(2025年10月23日時点での内容)

  • 郵便料金:110円
  • 電子郵便料金:19円
  • 内容証明料金:382円
  • 謄本送付料金:304円
  • 一般書留料金:480円
  • 速達・配達証明などのオプションサービスを利用する場合は、別途料金がかかります。

参考:日本郵便「e内容証明(電子内容証明)」別ウィンドウで開きます

請求書の未払いへの対応にはオリコのスマートプラン

請求書の未払いが発生した場合、法的手段に備えた内容証明郵便の活用は有効な方法である一方、実務上は手間やコストがかかります。そこで検討したいのがオリコの「スマートプラン」です。

「スマートプラン」は、企業が抱える売掛金をオリコが立替払いする仕組みになっています。

未回収リスクを回避しながら安定した資金繰りを実現できるため、内容証明や訴訟に至る前にキャッシュフローを守ることが可能です。

リスク回避策として導入を検討する価値のある選択肢といえるでしょう。

「スマートプラン」のサービス詳細については、下記リンクをご確認ください。

より効率的・効果的な債権保全に向けて ~オリコB2B決済サービスの活用~

オリコの「B2B決済サービス」を利用すれば、請求・入金管理の自動化や信用リスク軽減が可能です。

内容証明による法的対応と組み合わせることで、回収漏れを最小限に抑えられます。回収手段と予防策をバランスよく活用することで、安定した資金繰りを実現できるでしょう。

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