督促の意味とは?催促との違いや督促状が届いた時の対処法も

記事公開日:2024年09月11日

最終更新日:2024年09月11日

家賃の滞納や商取引上の未払いなど、私たちの身の回りには「お金」をめぐるトラブルが数多く潜んでいます。そんな金銭をめぐる問題が起きたときに取られるアプローチの一つが「督促」です。「督促」とはどんな意味を持ち、いついかなる目的で行われるのか。「督促」と似た意味合いを持つ言葉に「催促」がありますが、その違いについても解説していきます。さらに、督促までの流れ、督促状への対処法などについてもご紹介します。

督促とは

「督促(とくそく)」とは、一般的に「物事を進めるために、相手に対して働きかけたり促したりすること」を意味します。特に、法的な文脈やビジネスにおいて期限内に行動がなされていない場合に使われることが多いです。
例えば、企業が未払いの請求書の支払いを求めたり、国や自治体が税金の支払いを促したりする場合など、主に相手に対して金銭的な用件で請求する際に「督促」という言葉が用いられます。
つまり、期限内に支払いが行われなかった場合に支払いを要求する行為を「督促」と表現するのが一般的といえるでしょう。

催促との違い

「催促(さいそく)」は「督促」と同様に相手に行動を促す意味を持ちますが、「督促」とは違ったニュアンスの意味も有します。
「催促」は、相手に対して早く行動するように軽く促す感じが強く、比較的柔らかい表現といえます。日常会話やビジネスでも幅広く使われますが、法的な厳しさは必ずしも伴わないことが多いです。
例えば、期限が迫っている業務やプロジェクトに対して、関係者に進捗状況を確認したり、行動を促したりする場合に「催促」という表現が使われます。
つまり、「督促」はやや強い要求や義務感が伴う場合が多く、特にビジネスや法的な場面で使われる一方で、「催促」は柔らかく促すことが多く、日常会話からビジネスまで幅広く使われています。

督促はどういうときに実施される?

前述したとおり「督促」は、法的な文脈やビジネスにおいて約束が実行されない場合に用いられ、例えばビジネスの分野では、期限内に支払われていない金銭の入金を促す際、企業や金融機関などが「督促」を行います。
また、「未回収債権の決済を求める」「税金などの収納を促す」といったケースで、金融機関や行政機関などが「督促」を行うこともあります。

督促状とは

督促状は様々な場面で送付されますが、最も多いのは支払いの要求でしょう。万が一、何かしらのサービスを利用した際に支払いが期限内に済んでいなかったり、自治体などに納めるべき税金を滞納または遅延したりしている場合には、「督促状」を受け取ることになってしまいます。
「督促状」には法的な拘束力が伴うわけではありませんが、「督促」を受けた側が支払いの意思を示さない場合には「督促状」の送付が繰り返されることでしょう。
このように「督促状」はできることなら受け取りたくはないものです。ではもし「督促」を受ける側もしくは送る側になった場合、どのような流れで進んでいくのか、順を追って見ていきましょう。

督促までの流れ

「督促」が発生する事例は、「事業者と取引先(顧客)」「銀行と企業・個人」「国・自治体と個人」の3つに大別できます。いずれの場合においても、流れは以下のとおりです。

電話やメールで催促をする

支払いが遅延している当事者に対し、その旨を電話やメールなどの手段で連絡する必要があります。ここでは気をつけたいのは、必ずしも当事者に過失があるわけではないということです。
手違いで請求処理が正しく行われていなかったり、当事者に通知した入金先が誤っていたりするケースがあるため、まずは当事者に対して連絡をとって事実を確認することになります。
当事者に連絡した結果、請求した内容に誤りがなく、支払いの遅延が確認された際には、請求していた金額の入金を依頼するよう伝えます。
この際、当事者が請求書を紛失していたり、請求元の手違いによって書類が届いていなかったりする場合は、請求書を再発行することになります。

督促状を送る

支払いの遅延や滞納を電話などで通知しても、当事者が請求に応じない場合には、法的手段の前段階として「督促状」を送付します。
「督促状」には、未払いの旨を明記したうえで支払いの期日を記載し、場合によっては支払いに応じない場合に法的手段を用いる言葉も添えて、当事者に対して送付します。
「督促状」の送付から支払いが完了するまで、一般的には数回やりとりが繰り返されるケースがほとんどです。

内容証明郵便を送る

「督促状」の送付後も支払われなかった場合は「内容証明郵便」が送付されます。
端的にいうと「内容証明郵便」とは、いつ、いかなる内容の文書を誰が誰に宛てて郵便で送ったかを証明するサービスであり、「督促状」よりもさらに強制力が強い「催告書」と呼ばれる書類を送付する際に用いられます。
郵便局が行っている「内容証明郵便」は、差出人と受取人の名前、送付された書類の内容などがきちんと記録に残るため、法的な効力がある点が特徴です。

督促状が届いた場合の対処法

もし「督促状」が自分宛てに届いたとき、どのような対処をすればいいのでしょうか。ここでは「督促状」を受け取った側の観点から、書類が届いたときの対処法をご紹介します。

督促状の内容について事実確認を行う

「督促状」が届いた際は、そこに書かれている内容をまず確認しましょう。
なお、未払いや滞納は信用問題に大きく影響するため、通知された内容が事実であった場合は、その立場(企業・個人)にかかわらず、支払いが完了していなかった原因を特定したほうがいいでしょう。

期限までに支払いを行う

「督促状」に記載されていた内容が正当な請求と確認できた際は、指定された期日までに支払いを完了させることが最善です。
記載された期限内に支払いや返済を済ませれば約束が履行されたと見なされ、督促が続いたり、法的手段を執行されたりすることはなく、支払いの当事者となった企業や個人に問題が起きることはありません。

支払いが難しい場合は連絡する

督促状で支払いを通知されてもなお、手元に資金がなかったり経済的理由で支払いが困難と判断できたりする場合であっても、督促状が届いた以上、請求元に対して一切連絡せずに放置することだけは厳禁と心得ましょう。
できる限り速やかに請求元に連絡をとり、何かしらの事情を説明して支払いの目途が立たない旨を伝えて、期日の延長や返済方法を交渉して理解してもらうよう努めましょう。

弁護士へ相談する

何らかの事情や理由により、請求元が指定した期限内の支払いが困難となり、かつ請求元が返済期限の交渉に応じない場合には、弁護士や司法書士などの専門家を立てて交渉を代理してもらい、対応を一任する手段があります。
依頼したのが弁護士であれば、支払い当事者の将来的な見通しを踏まえて法的な解決策を提案してもらえ、債務の任意整理によって返済の負担を減らせるケースもあります。

督促状を無視・放置するとどうなる?

「督促状」を受け取って何かしらの理由で対応できないとしても、期日までに何もせずに放置していると、支払い当事者を取り巻く状況は悪化していきます。ここでは、融資の返済が滞った場合の流れを解説します。

督促状の内容が厳しくなる

「督促状」が届いているにもかかわらず対応を示さない場合、支払いが完了されるまで何度も送られてくることになります。
初回の「督促状」では丁寧な文面だった内容が、送付の回数が増えるたびに徐々に厳しい表現になっていき、支払い当事者の責任を追及するような記載に変わっていくのが一般的です。
度重なる請求に応じないと、最終的には法的手段を取られるケースに至る可能性があります。法的手段に訴える旨が書かれた書類を受け取る前に、できる限り早急に対応するよう留意しましょう。

期限の利益が喪失する

「督促状」の請求に応じない場合には、「期限の利益」を失うおそれがあります。「期限の利益」とは、期限の到来まで債務を履行しないでよいという利益のことを指します。言い換えれば、分割払いを可能とする権利といえます。
「期限の利益」の事例としては住宅ローンが挙げられます。金額が大きいローンを一度に払う必要がなく、あらかじめ定められた期間は債務者から一括請求を受けることは基本的になく、分割での支払いが可能です。
住宅ローンのように金額が大きな融資の場合、一般的には分割して返済しますが、分割支払いの契約で決められたローンの督促状を放置すると「期限の利益」を喪失し、残額を一括で支払う必要に迫られるリスクもあります。

法的手段をとられる

督促状への対応を放置し続けていると、最終的に法的手段がとられる場合もあります。こうなってしまうと、事態を打開する可能性はなくなり、支払い当事者を巡る状況は深刻化していく一方となるでしょう。
給料や財産の差し押さえといった法的手段にとどまらず、資産と見なされた場合には車や家などが強制的に売却されます。もし美術品などを所有していれば、それらも差し押さえられる可能性があります。

裁判所から通達が届く

督促状を放置し続けた場合、裁判所からの「支払督促」が送付されます。
「支払督促」には、判決の主文に相当する「債務者は、請求の趣旨記載の金額を債権者に支払え」という文言が記載されていて、警告文言といわれている「債務者が支払督促送達の日から2週間以内に異議を申し立てないときは、債権者の申立てによって仮執行の宣言をする」という文言も記載されています。
債務者から異議申立てがなければ、債権者は仮執行宣言の申立てができるようになります。ここまで状況が悪化すると、「支払督促」を受け取った支払い当事者は、支払いを請求していた債権者側の主張に沿って法的手段の執行を受け、前述したように給与などの財産がその対象として差し押さえられます。

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