売掛金回転期間とは? 計算式やリスク・問題点、回収長期化の対策法を解説!

記事公開日:2024年9月27日

最終更新日:2024年9月27日

「売掛金」は状況次第で回収が不能になる可能性があるほか、長期的に滞留されるケースもあり、取引を進める際には定期的な管理が求められます。「売掛金」の管理においては、商品やサービスの提供後から代金を回収するまでにかかる期間(回転期間)が重要な指標になってきます。ここでは、「売掛金」の回転期間を詳しく解説するとともに、リスクや問題点、回収期間が長期化した場合の対策法などをご紹介します。

売掛金回転期間とは

「売掛金」は「売上債権」とも呼ばれ、受取手形なども「売上債権」に含まれます。「売上債権」を端的に言えば「売上代金の未回収分」であり、取引によって発生した代金を請求する権利でもあります。

「売掛金」の回収が円滑に進むほど健全な経営といえ、事業を展開する際には、商品やサービスの提供後から代金を回収するまでにかかる期間(=回転期間)が重要な指標になってきます。

「売上債権」の回転期間は、以下の式で求められます。

  • 売上債権(売掛金 + 受取手形)÷(売上 ÷ 365)= 回転期間(日)
  • 売上債権(売掛金 + 受取手形)÷(売上 ÷ 12)= 回転期間(月)

さらに、「売掛金」回収の効率性を把握するため回転率の把握も重要です。「売掛金」の回転率は以下の式で求められます。

  • 売上(年間) ÷ 売上債権(年平均) = 回転率

簡潔に述べると、回転率が低い場合には代金の回収に時間を要していると捉えられます。そのため、「売上債権」の回転期間と「売掛金」の回転率を確認し、財務状況を健全に保つ姿勢が肝要です。

売掛金回転期間の見方

売掛金回転期間は、売掛金を回収する際に必須の指標といえます。売掛金回転期間を理解するということは、自社の財務状況を把握することを意味します。では、算出された売掛金回転期間をどのように見ればいいのか。詳しく見ていきましょう。

算出された数値の同業他社との比較

中小企業実態基本調査によれば、売掛金回転期間の平均値は業種によって異なっています。

現金取引が多い小売業や宿泊業、飲食サービス業などは、一般的に1ヵ月を超えるとよくないとされています。掛け取引が一般的な製造業であれば、2ヵ月を多少上回る程度が許容範囲といえます。
端的に言えば、現金取引が主体となる業種では1ヵ月以内、掛け取引が一般的な業種では2ヵ月程度が目安となるでしょう。反対に、現金取引が主体の業種で1ヵ月以上、掛け取引が一般的な業種では2ヵ月以上が経っている場合は、経営に問題がある可能性を検討したほうがいいでしょう。

自社の過去の売掛金回転期間との比較

一般的に売掛金回転期間は、一定するわけではなく、ある程度の変動が生じます。経営の漸進的な改善に向け、同業他社との比較だけではなく、自社の過去業績との比較も重要といえます。

例えば、創業から5年余りが経過している企業があったとしましょう。この場合、過去5年分の決算書を全て確認し、売掛金回転期間を比較するといいでしょう。
創業時より売掛金回転期間が短くなっていれば事業を健全に運営できているといえ、反対に売掛金回転期間が長期化していれば経営に改善の余地があると捉えて構わないでしょう。

売掛金回転期間長期化のリスク・問題点

売掛金回転期間が長期化するということは代金の回収に時間がかかることを意味し、企業や個人事業主にとっては財務体質の悪化を招く事態となります。売掛金回転期間が長期化すると、さまざまな問題が噴出します。一つずつ見ていきましょう。

手元資金が不足する

売掛金回転期間の長期化によって最も影響を受けるのが手元資金です。代金を貰えていない以上、現金収入がなく、資金体力が落ちていくことは明らかです。手元資金の不足が続けば、オフィスのテナント料や従業員の人件費が滞る可能性すら出てきて、事業そのものに影響が出ることでしょう。

貸し倒れにより経営状態が悪化する

売掛金回転期間が長期化すれば貸し倒れリスクが生じてしまい、債務者である取引先の経営悪化や倒産などで未回収の代金が回収できなくなってしまいます。仮に債務者が支払い期限を守らなかった場合は、取引先に対して売掛金の回収を求めたほうがいいでしょう。

売掛金の回収不能になるのを避けるためには、取引先の経営状態に関する情報を日頃から収集し、資金不足に陥るような兆候がないかどうか、定期的に確認することが大切です。

黒字倒産に追い込まれる

売掛金が回収できない状態が続くと、最悪のケースとして黒字倒産に陥る懸念があります。もし帳簿上で売上を記録している一方で、売掛金が回収できない状態が続くと現金がショートしてしまい、事業そのものを継続できない状況を迎える可能性があります。

事業の急激な成長にともない、売掛金が多く発生しやすい状況下では特に注意が必要です。例えば、創業から数年を得た会社が直近の事業で急激な成長を遂げたとしましょう。こうした場合、事業の拡大に伴って売掛金も多く発生しやすく、事業自体が好調でも売掛金を回収できなければ黒字倒産する懸念が出てきます。

融資活用による金利・手数料負担が増える

手元資金が不足すると、代金が支払われるまでの運転資金を新たに調達する必要に迫られるかもしれません。仮に銀行から融資を受けたら、金利や手数料などの諸費用が経営の負担になってきます。売掛金回転期間が長期化して融資額が増えれば、資金繰りが悪化の一途を辿るおそれがあります。

売掛金回転期間長期化への対策方法

売掛金回転期間の長期化が解消しない場合は、代金の回収に向けて対策を打つべきです。待っていては何も始まりません。その時にできる対策を講じ、売掛金の回収を少しでも進め、財務体質の改善を図ることが肝要です。売掛金回転期間の長期化に有効な対策にはどんなものがあるのか。その具体例を確認していきましょう。

売掛金の管理状況を見直す

まずは、売掛金の管理状況を見直すのがいいでしょう。

売掛金の額を把握するとともに、支払いが遅延している期間も確認し、代金を回収できていない売上債権を一つずつ洗い出すと、回収すべき売上債権の優先度を明確にできるはずです。
そして、請求書を送付したり電話で督促したりして回収作業に努め、場合によっては債務者に支払い計画を提出させる対応も必要になるかもしれません。仮に取引先が倒産または破綻してしまった場合は、法的手段に訴える選択肢も視野に入れる必要が生じます。

分割して請求する

売掛金の管理状況を見直してもなお、売掛金回転期間の長期化が解消しない場合は、債務者に対して売上債権を分割して請求する方法を検討しましょう。

例えば、あるIT企業の大規模プロジェクトを制作会社が請け負ったとします。プロジェクトの完了見通しが1年後になっていた場合、もし完了までに入金がないと制作会社の資金繰りは苦しくなると予想されます。
このようなパターンでは3ヵ月ごとに請求するなど、小分けにして請求・回収すると、売掛金回転期間を短縮できます。

請求書の支払い期日を短縮する

一般的には支払いサイトが30日程度の企業が多く、短ければ15日程度で売掛金を入金する企業もあります。入金タイミングは債務者の都合による場合がほとんどですが、請求書の支払い期日を短縮して売掛金の入金を促すことも可能ではあります。ただし、債務者の取引先にとって受け入れ可能かどうか、あらかじめ確認する必要があるでしょう。

仕入債務回転期間を延ばす

「仕入債務」とは機器や素材などを仕入れたものの代金が未払いの状態にある債務ですが、この仕入債務の回転期間を延長すれば資金繰りに余裕が出ることでしょう。

どういうことかというと、先に代金を回収してから仕入の債務を返済できるため、手持ち資金が増加することになります。ただし、資金体力に疑問符を投げかけられるリスクがあるため、採りうる選択肢の中でも慎重に判断すべき方法だといえます。

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事業の運営において重要な指標となる「売掛金回転期間」に関する知識は、どんな業種であっても経営に不可欠となります。「売掛金回転期間」への理解を欠いたままでは資金繰りに苦慮する可能性もあり、できるだけ内容を把握しておくといいでしょう。

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