与信審査とは? 信用調査との違いや与信審査の方法・注意点を解説!

記事公開日:2024年10月25日

最終更新日:2025年1月17日

「与信審査」は、企業間取引でリスクを最小限にするため、必ずといっていいほど遂行すべき業務です。大半の企業は新たに取引を始める前に「与信審査」を行います。

では「与信審査」とはどのようなものなのか。さらに「信用調査」との違いに加え、「与信審査」の一般的な進め方や分析方法、注意点を解説します。

与信審査とは

取引先に支払い能力がなければ、売掛金を回収できません。そこで、スムーズに売掛金を回収できる取引先かどうか見極めるため、「与信審査」を行う必要があります。では「与信審査」とはどのようなものなのか。さらに「信用調査」との違いも説明します。

与信とは

「与信」とは、取引先に信用を与えることを意味します。取引先をどこまで信用していいのか。取引先にどの程度の金額まで取引していいのか。「与信」ではこうした取引先の信用度合いを確認する手続きを行います。信頼関係を築ける企業間でしか成立しない取引であり、信用に基づいた取引を「与信取引」といいます。

与信や与信管理についての詳細は以下の記事にて解説しています。

与信審査とは

取引相手が信用できるかどうかを調べる目的で行われるのが「与信審査」で、特に新たな取引を始める際に欠かせません。商品やサービスの提供後に代金を請求して売掛金を回収する取引であれば、「与信審査」を行うべきでしょう。「与信審査」によって期日通りに売掛金を支払える企業であるかどうか、事前に確認できます。

与信審査と信用調査の違い

「信用調査」では取引先の財務状況の調査を行います。その結果を受け、取引先に請求書払いで取引できる支払い能力があるかどうかを審査するのが「与信審査」です。最終的に「与信審査」の過程で問題が見つからなければ、請求書払いでの取引が可能な企業とみなされ、「与信取引」ができます。

与信審査の方法

「与信審査」では取引先を調べる以外にも対応すべきことがあります。ここでは、一般的な「与信審査」の流れを解説するとともに、「与信審査」の際に念頭においておくべき事項を確認しましょう。

取引先の情報を収集する

「与信審査」にあたり、取引先に関する情報を収集します。収集可能な情報は、取引先のコーポレートサイトに載っている公開データなどの外部情報に加え、取引先の担当者に対するヒアリングで得られる非公開データなどの内部情報があります。

情報の分析と評価を行う

取引先の業績がわかる決算書や経営者に関する評判、または登記簿や調査会社から得られた情報を踏まえ、取引に値する企業かどうか、最大限に分析して評価を下します。なお、「与信審査」の分析方法については後述します。

与信限度額を設定する

「与信審査」の結果、取引に問題ないと判断された場合は、妥当な取引額を算出して与信限度額を設定します。新規の取引先であれば、仮に未回収になっても問題ないよう、現実的な取引額を試算して設定するのが一般的です。

契約条件を交渉する

契約の締結に向け、与信限度額などの条件に基づいて取引先と交渉します。もし交渉中に気になる点があったり問題が起きたりした場合は、交渉時に確認するといいでしょう。交渉で条件を詰めておけば、契約後のトラブルを未然に防げます。

与信審査の分析方法

「与信審査」では、取引先の状況を正確に把握するため、必ず事前に分析する必要があります。では、「与信審査」においてどのように取引先を分析するべきなのでしょうか。ここでは代表的な分析方法として、以下の2つを紹介します。

定量分析

財務諸表をもとに情報を分析します。具体的には、資産・負債・純資産の状態を表す「貸借対照表」、一定期間の経営成績を示す「損益計算書」、一定期間の資金の流れを記録した「キャッシュフロー計算書」を使い、「与信審査」を行います。また、信用調査会社の帝国データバンクや東京商工リサーチを活用する選択肢もあります。

定性分析

数値では捉えきれない情報を分析します。具体的には、取引先の内情を確認する観点で、代表者または経営者の経歴・人格・評判や取引先の業歴・風評、また参入市場における成長性・優位性、企業が属する業界の動向・環境、事業計画書などを参照し、「与信審査」を行います。

与信審査で注意したいポイント

収集すべき情報の特性上、「与信審査」は一つの部門だけでは完結しません。取引先の状況によっては自社で対応できない可能性もあります。ここでは、実際に「与信審査」を行う際にどういった点に気をつけて進めればいいのか解説します。

管理部門と現場で情報を共有する

取引先の財務状況は管理部門が財務諸表で確認できる一方で、取引先の評判や社風などの情報は営業部門が把握している場合がほとんどです。よって、「与信審査」においては管理部門と現場が情報を共有できる体制を整えておくといいでしょう。

外部のデータを活用して審査をする

自社で収集できる情報の量や質には限界があります。そのため、企業情報データサービスや信用調査会社を活用し、自社だけで収集した情報に依存しない体制を整えておくと、取引先に対する「与信審査」をより客観的に行えるでしょう。

外部への審査を依頼する

上場企業をはじめとした大企業の場合は十分に情報を収集できるでしょうが、中小企業や新興企業、または海外企業は情報が少ないケースが想定されます。取引先の情報を得にくい場合は「与信審査」を外部に依頼する選択肢を検討しましょう。

与信部門を設ける

徹底して「与信審査」を行いたい場合は、専門部署として与信部門を設けます。管理部門や営業部門とは別に与信部門を設けることで、「与信審査」の強化を図れるうえ、取引に関するリスクマネジメントの向上も可能となるでしょう。

与信審査の評価基準を標準化する

「与信審査」の担当者が変わった場合、審査基準も変わる可能性があります。こうした状況に備え、評価項目を設けて「与信審査」の基準を標準化しておけば、仮に担当者の変更などがあった場合でも、客観的に評価できる体制を維持できます。

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「与信審査」は取引において重要です。例え取引を開始できても、商品やサービスの提供後に売掛金を回収できなければ事業の継続は困難となります。一方で「与信審査」を自社で行おうとすると、時間も手間もかかってしまいます。「与信審査」のリソースに余裕がない場合は、外部サービスの活用を検討してみるといいでしょう。

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