催告書とは?書き方と送り方・督促状との違いや目的を解説

記事公開日:2025年12月12日

最終更新日:2025年12月12日

催告書(さいこくしょ)は、支払期限を過ぎても入金がない取引先に対し、法的手段を取る前に支払いを正式に求める重要な文書です。債権者の強い意思を明確に示す手段で、内容や送付方法次第で法的効力を持つ場合もあります。

本記事では、督促状との違いや送付の目的、書き方や送付時の注意点までを詳しく解説します。法的手段を取る前の最終通知としての役割や、時効を中断する効果なども紹介し、経理業務の実務に役立つ内容をまとめています。

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催告書(催告状)とは?

請求書を送付しても入金がない場合、電話やメールでの連絡を経て、それでも支払いがないときに検討すべきなのが「催告書(催告状)」です。

訴訟に移行する前の最終段階として位置づけられる重要な書類であり、電話やメールと違い、文書として残るため、法的証拠としても利用できます。

内容には、未払金額、支払期日、支払いを求める理由、支払期限を明確に示すことが重要です。文面では感情的な表現を避け、事実と契約に基づいた冷静な筆致で作成することが求められます。

督促状との違い

督促状は穏やかに支払いを促す段階の文書です。これに対して催告書は、「このままでは法的手段も検討する」という強い意思を伝える正式な書類です。

実務上、催告書は督促状の後に送付します。文面には、支払期限や法的手段を示唆する表現が加えられ、トーンも厳格です。法的効力を持つ内容証明郵便で送るのが一般的です。

督促状が「注意喚起」だとすれば、催告書は「最終勧告」にあたります。両者を正しく使い分け、取引先との関係を維持しながら債権を回収していきましょう。

催告書と督促状の違いは、以下のとおりにまとめられます。

左右にスワイプ可能です
催告書 督促状
目的 法的手段に進む前の「最終勧告」 取引上の遅延に対する「注意喚起」
送付時期 督促状を送っても反応がない場合に送る 支払期日を過ぎた初期段階で送る
内容 強めで厳格
法的手段の可能性を明記する
穏やかでビジネス的
まずは支払いを依頼する
法的効力 内容証明郵便で送れば法的証拠として有効 通常の郵送やメールでは法的効力は限定的
相手に与える印象 「訴訟も視野に入っている」と受け取られやすい 「交渉・対応の余地がある」と受け取られやすい

なお、催告書の詳しい書き方は後述の「催告書の書き方のポイントと例文」で解説しています。

催告書を送付する目的

催告書の目的は、取引先に「支払いを放置できない状況」であると認識させることです。また、催告書を送付することで「時効の中断」効果が生じ、債権の消滅を防げます。

さらに、送付記録を残すことで、後の訴訟や支払督促の際に「適切な回収手続きを行った」証拠として活用できます。

つまり催告書は、心理的な圧力、時効の完成猶予という両面で重要な役割を果たします。ここでは、心理的な圧力と時効の完成猶予という2つの観点で、催告書を送付する目的について説明します。

催告書を送付する流れと目的

取引先へ支払いを強く要求する

催告書の主な役割は、取引先に支払いを強く求めることにあります。

明確な支払期限を設定し、「期日までに入金が確認できない場合、法的手段を検討します」といった対応方針を記載することで、取引先が支払わざるを得ない状況を作り出します。

このように催告書は、取引先に心理的な圧力を与える役割を果たすものの、過度に威圧的な表現は避けましょう。ビジネスマナーを守りながらも、毅然とした態度で意思を伝えることが大切です。

時効の完成を遅らせる

債権には時効があり、商取引では原則5年で請求権が消滅します。催告書を送ることで、この「時効の完成」を一時的に中断できます。

具体的には、民法により時効の進行が一時的に中断され、6ヵ月間の猶予が生じます。その間に訴訟や支払督促を行えば、時効をリセットできます。

時効が迫る債権については、速やかに催告書を発行して内容証明郵便で送付し、証拠として保管することが肝要です。このように対応すれば、催告による時効の完成猶予があることを示す証拠となり、裁判時に有効です。

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催告書の書き方のポイントと例文

催告書は、感情的ではなく事実に基づいて簡潔に書くのが基本です。文面には、以下の内容を明記します。

  • 請求金額と支払期限
  • 支払いを求める理由
  • 支払わない場合の対応方針

ここでは、書き方のポイントを説明したうえで、実際に書く場合に備えて例文も示しています。

催告書を書く時のポイント

催告書を作成する際は、「正確さ」「冷静さ」「証拠性」を意識することが不可欠です。正確な情報を書いて記録として残しましょう。また、取引先の支払能力や取引履歴に応じて文面の強さを調整することも大切です。

具体的には、以下の3つの観点で記載します。

催告書を書く時のポイント3つ

支払いがない事実と内容を明示する

催告書では、まず「支払われていない事実」を記載します。請求書番号・金額・支払期日・取引内容を具体的に示し、誰が見ても状況を理解できるよう整理します。

曖昧な表現を避けることで相手に誤解を与えず、支払拒否の余地を減らすように書きましょう。例文は以下のとおりです。

貴社は、令和〇年〇月〇日付の売買契約により、〇月〇日までに弊社に商品の代金〇〇〇万円を支払う約束をしていましたが、弊社よりご請求しております代金について入金を確認できておりません。

支払いを強く求める文言を記載する

催告書の中では、取引先に支払義務を明確に意識させる文言を盛り込みます。「〇月〇日までにご入金をお願いいたします」など、具体的な行動を喚起させる書き振りが効果的です。

これにより、取引先は支払義務を意識し、早期に支払う傾向があります。例文は以下のとおりです。

令和〇年〇月〇日付の売買契約により発生した商品の代金〇〇〇万円を支払うよう催告いたします。つきましては、弊社指定の銀行口座に振り込んでいただきますようお願い申し上げます。

法的手段をとることを告知する

催告書の文末には、取引先に「このまま支払いがなければ法的手段を取る可能性がある」と明示することが重要です。

ただし、実際に法的手段を取る意思がないのに過度な警告をするのは避けるべきです。努めて冷静な筆致で書きましょう。例文は以下のとおりです。

◯月◯日までに代金をお支払いいただけない場合、誠に遺憾ではございますが、法的手段をとるほか、遅延損害金、延滞利息、請求手数料を加算させていただく場合がございますことを、あらかじめご了承ください。

催告書の記載項目と例文

書式の整った文書は、取引先への信頼性を高め、法的な証拠としても有効です。催告書の記載項目と例文は以下のとおりです。

令和◯◯年◯◯月◯◯日

東京都◯◯区◯◯丁目◯◯番◯◯号
◯◯◯◯株式会社 代表取締役 ◯◯ ◯◯殿

東京都◯◯区◯◯丁目◯◯番◯◯号
株式会社◯◯◯◯ 代表取締役 ◯◯ ◯◯

催告書

弊社が貴社に対して、令和◯◯年◯◯月◯◯日に納品した代金◯◯万円について、令和◯◯年◯◯月◯◯日時点で、お支払いいただいておりません。

本書到達後◯◯日以内に下記のとおりお支払いくださいますよう、催告いたします。万が一、お支払いがない場合は、法的措置も検討させていただきます。

代金      金◯◯円
遅延損害金   金◯◯円

振込先

◯◯銀行◯◯支店◯◯口座
口座番号 ◯◯◯◯◯◯
口座名義 ◯◯◯◯◯◯

  • タイトル
    「催告書」と題し、文書の性格を明示します。
  • 宛名
    債務者(受取人)となる取引先の社名・代表者名・住所を正式に記載します。
  • 差出人情報
    債権者(差出人)である自社の社名・代表者名・住所を記載します。
  • 発行日
    催告書の作成日を明記します。後日の証拠保全にも重要です。
  • 取引内容の明示
    必要に応じて、対象となる債権の請求書番号、契約日、商品やサービス名などを明記し、支払いの根拠となる取引を特定します。
  • 支払遅延の通知
    請求した代金が支払われていない事実を記載します。
  • 未払金額・支払期日
    請求金額(税込・税抜)、支払期限、振込先口座を記載します。
  • 催告の文言
    「〇月〇日までにお支払いがない場合、法的措置を検討せざるを得ません」などと記載し、対応方針を明確にします。

なお、催告書は内容証明郵便で送付することが一般的です。内容証明郵便の書き方は下記の記事をご確認ください。

催告書の送り方

催告書を送る際は、確実に相手に届いたことを証明できる「内容証明郵便」での送付が基本です。内容証明は、郵便局が「誰に・いつ・どんな内容を送ったか」を公的に証明してくれる制度であり、後日「受け取っていない」「知らなかった」といった主張を防げます。

ここでは、催告書を送る際に念頭に置いておくべきことを説明します。

催告書を送る時の注意点

金額・取引日・請求書番号などのミスは信頼を損なうだけでなく、法的効力を弱める可能性があります。催告書を送る前に、誤解や計算ミスがないかを確認し、必要に応じて関連部署の担当者にも確認を依頼しましょう。

前提として、催告書は法律的な文書としての意味合いが強いといえます。取引先に催告書を送付した場合、ビジネスパートナーから紛争中の相手という関係に変わることを理解しておきましょう。

催告書を送るタイミング

催告書は、支払期限を過ぎてから1〜2回の督促を行い、それでも応じない場合に送るのが一般的です。早すぎると取引先の事情を無視した対応と捉えられ、逆に遅すぎると債権回収が困難になります。

特に債権の時効が迫っている場合は、できるだけ早期に催告書を発行し、時効中断の効果を確実に得ることが重要です。

また、請求金額が大きかったり、トラブルに発展する可能性が高かったりする場合には、社内で方針を統一した上で送付するのが望ましいです。

内容証明郵便での送付

内容証明郵便を使うことで、催告書の法的証拠力を格段に高められます。郵便局が送付内容と日付を証明してくれるため、「届いていない」「知らなかった」という相手側の主張を防げます。

作成時は、郵便局が定める書式に従う必要があります。文書の作成方法・提出方法については、下記の郵便局のページをご確認ください。

催告書を受け取った場合の対処法

もし、自社が取引先から催告書を受け取った場合、放置は絶対に避けるべきです。催告書を受け取った時点で関係者間で共有し、社内で対応方針を決めることが重要です。

まず催告書を受け取ったら、内容を精査し、未払いが事実であれば速やかに入金します。

もし請求内容に誤りがある場合は、証拠資料をもとに冷静に連絡を取り、誤解を解きましょう。返信が遅れると「支払う意思がない」と判断され、訴訟や差押えに発展するリスクがあります。

期限内に支払えれば問題ありませんが、支払期限に間に合わせるのが難しい場合は、期限前に取引先に連絡し、理由を説明して理解を得るほかありません。取引先が理解を示してくれた場合、支払期限を延長するといった解決策で妥結できる可能性があります。

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請求や督促をしても入金がない場合に送る催告書は、電話やメールと異なり、文書として残るため法的証拠になります。

督促状との違いを理解し、タイミングや文面を適切に設計することで、取引先に誠実かつ効果的に支払いを促せます。内容証明郵便による送付で証拠力を高め、社内承認や記録管理を徹底することも欠かせません。

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