「所有から利用へ」という価値観の変化を捉え、1台の車が循環していく仕組みを支えるオートリース事業は、オリコが注力する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」を体現するものです。
「個人にリースは売れない」と言われた市場に飛び込み、現場で奔走し続けてきた玉井さんに、挑戦の軌跡を聞きました。
耕し続けた先に見えた、
新しい市場の姿
2003年入社 自動車営業部玉井 雄貴

Introduction
「所有から利用へ」という価値観の変化を捉え、1台の車が循環していく仕組みを支えるオートリース事業は、オリコが注力する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」を体現するものです。
「個人にリースは売れない」と言われた市場に飛び込み、現場で奔走し続けてきた玉井さんに、挑戦の軌跡を聞きました。
オリコはもともとオートローン(お客さまが車を購入する際の分割払い)を中心に、全国の自動車販売店と取引を重ねてきました。そこに新たな事業として個人向けオートリースを加えるため、2008年にグループ会社の株式会社オリコオートリースが設立されたのです。それにあわせて全国の支店にリース推進担当が置かれ、当時、岩手県の盛岡支店に所属していた私もそのひとりに任命されました。
しかし、当時の個人向けオートリースはほとんど注目されていません。お取引先の自動車販売店を訪ねても、「一般個人にリースは売れないよ」という冷ややかな言葉が返ってくるばかりでした。
それでも手を止めるわけにはいきません。チラシや説明ツールを自分たちで手作りし、ほかの支店の推進担当と「こんなものを作ってみたのですが、見てもらえませんか」と見せ合いながら切磋琢磨する。同じ支店の営業担当とも同行して岩手県全域の代理店さまを回る日々でした。全国各地の推進担当も、それぞれの地域で同じように走り回っていたはずです。
そうした地道な訪問を重ねるなかで、代理店さまとの関係性も、オートローン営業のときとはまた違った方向へと広がっていきました。ローンは車の購入時にお客さまへ提案する「支払い方法」のひとつですが、リースは代理店さまの販売のあり方そのものに関わります。単なる商品説明ではなく、経営的な視点で伴走する営業スタイルへの変化でした。
オートリースを本気で扱うとなれば、代理店さまは商品の売り方そのものを変える必要があります。それは代理店さまにとって大きな経営判断です。オートローン営業の時代とはまた違った角度で代理店さまに関わることができた、新しい経験でした。そうした先で、「今までの信販会社の営業とは違う」「毎回訪問してもらえるのが楽しみだ」と言っていただけるようになったとき、代理店さまとの関係が確かに変わり始めたことを実感しました。
車検代やメンテナンス費用、毎年の税金まで全て含んだ定額で月々の支払い額を示せる。それがリースという仕組みの強みであり、お客さまのハードルを大きく下げました。定額制という仕組みが、お客さまの負担を軽くした。私たちと代理店さまが積み上げてきた努力が、ようやく花開いた瞬間でした。
市場が広がり、オートリースという乗り方が浸透していくなかで、事業をふと振り返ったとき一つの視点に行き着きました。私たちが地道に育ててきたこの仕組みは、資源を循環させ、無駄をなくす経済のあり方、つまりサーキュラーエコノミーにつながっていたのではないか、と。
オートリースでは、契約満了時の車の想定価値をあらかじめ設定するため、お客さまの中に「大事に乗ろう」という意識が自然と芽生えます。そうして良好な状態を保ったまま、契約満了後の車は中古車として次の利用者へ。すぐに廃車にするのではなく、一台の車がきちんと整備されながら長く使われていく。これが、オートリースが生み出す「循環」です。
正直、立ち上げ当初から「循環型社会をつくろう」と志向していたわけではありません。信販会社のビジネスがサーキュラーエコノミーに当てはまるとは、思いもしませんでした。ただ、世の中が「循環型でやっていこう」という流れになったとき、私たちにはすでに長年積み上げてきた土台がありました。後から参入する企業とは、積み重ねてきた経験値や現在地が大きく異なる——そのことを強く感じています。
さらに、オリコは幅広い領域で事業を展開しており、多くのお客さまやお取引先さまとの接点があります。私たちがこの循環の仕組みを広げれば、その先にいる方々も自然と循環型の経済に参加していくことになります。これはオリコだからこそ果たせる大きな役割ではないでしょうか。そのつながりに気づいたとき、素直に「やっていてよかった」と感じました。
ただ、この循環は、お客さまが次もリースを選んでくださって初めて回り続けるものです。現在、契約満了を迎えるお客さまが増加しており、お乗り換えや再リースなど「次の一歩」をいかにお手伝いできるかが、事業にとって重要なテーマになっています。
将来的には、お客さまの側から「リースで乗りたい」と言っていただけるところまで持っていきたいと考えています。現状のオートリースは、代理店さまからの提案で初めて知る方がまだ多い。そうではなく、オートリースという乗り方をもっと誇れるものにしていきたいのです。
そのとき、あえて「オリコ」の名前を前面に出す必要はないと考えています。たとえば、全国の代理店で展開するカーリースブランド「コアラクラブ」や、車検・点検をパッケージにした「まとメンテ」。どちらにも「オリコ」の名前は入っていません。その仕組みを支えているのがオリコグループであることは、後から伝われば十分だと考えています。私たちが全面に出るのではなく、お客さまの選択肢を広げ、「こんなサービスがほしかった」と思っていただける価値をつくること——当たり前の存在として寄り添うだけでなく、一歩先の便利さや体験を提供していくことこそが、わたしたちにとっての、これからの挑戦です。
オリコには70年以上の歴史があり、先人たちがオートローンで築いた全国のネットワークという財産があります。私たちはその土台の上にオートリースを積み上げてきました。次の世代には、さらにその上に新しい価値を重ねていってほしい。私たちが耕してきた市場には、まだまだ可能性が眠っているはずです。