株主・投資家情報 (IR)
統合報告書
オリコの成長戦略事業面から 財務・経理グループ長メッセージ
財務健全性、株主還元、資本効率の
3つのバランスを取りながら、
アセット効率を高め、
サステナブルな成長へ
常務執行役員
財務・経理グループ長 小杉 雅弘
2022年度の振り返りと2023年度の見通し
2022年度は先行き不透明な状況が続くなか、個人消費には一部回復の兆しも見えましたが、2022年12月の日銀の金融政策修正などにより、想定以上に金利が上昇しました。営業収益は、金利上昇に伴う流動化収益の減少で個品割賦事業が大きく減収となり、前年比1%減の2,276億円、経常利益は同20%減の230億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同2%減の190億円となりました。一方、中期経営計画の重点領域である決済・保証事業や海外事業は順調に拡大していることに加え、機動的な不動産の売却や計画対比の経費抑制などにより、金利上昇のダメージを最小限に留めることができたと考えています。
2023年度は、経常利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益200億円と増益を見込んでいます。金利上昇の影響が通年で効く厳しい状況ではありますが、決済・保証事業、海外事業の更なる伸長、コロナ禍からの回復を取り込みカード・融資事業や銀行保証事業も収益を積み上げる計画です。中期経営計画最終年度の経常利益400億円以上の達成に向けて、4つの重点戦略の取組と、個品割賦事業の抜本的な収益構造の改革をしっかりと遂行していきます。
安定的かつ効率的な資金調達
資金調達については、金融機関からの借入のほか、債権流動化や信用保証、社債やCPなど様々な選択肢があります。多様なチャネルを組み合わせて最適なバランスを保ちながら、安定的かつ効率的な調達運営を心がけています。特に今後の金利上昇局面を見据え、有利子負債については、固定調達比率約8割をめどに、固定化を進めています。
資金調達自体は、外部格付けの格上げや金融機関との良好な関係性からも懸念はありません。この先の成長投資を見据え、ニューマネーの調達が必要になる可能性もありますが、コロナ禍で厚めに維持したキャッシュについては、今後チューニングを進めていきます。
事業ポートフォリオ運営
2022年度から事業ポートフォリオ運営を開始しました。7つの事業ポートフォリオの下に更に細分化したサブポートフォリオを設け、リスク対比での収益率を表すリスクリターンと、経費率であるコストリターンの2軸から、中長期的に各事業の推移を分析し、今後の方向性を「注力」「維持」「縮退」の3分類で評価。経営資源の投下や今後の事業戦略を議論しています。また、事業ポートフォリオ運営と併せて、部門別管理会計の制度化も進めてきました。個々の管理数値の財務PLとの関連性を整理し、単年度の業績の進捗を管理しています。これらの取組は一部にあった売上至上主義的なマインドセットの変革にもつながっています。
資本政策
2022年度には新たな資本政策の基本方針を策定し、財務健全性、株主還元、資本効率の3つのバランスを取ることを掲げました。株主還元については、安定的かつ継続的な株主還元を基本とし、連結配当性向30%をめどに配当を実施していきます。この資本政策を実施していく上ではアセット効率の向上が肝要であり、アセット効率の高い決済・保証事業、海外事業に注力しています。また、ビジネスプロモーション部門における非金利ビジネスへの取組、個品割賦事業の収益構造改革と合わせて、効率よく収益を上げられる基盤構築に注力します。
ステークホルダーの皆様へ
今中期経営計画では、事業を通じて社会課題を解決しながら同時に収益の向上を図ることをめざしています。この方向性に沿って、しっかりと収益性を上げて成長性を示すことが当社への信認を高め、株価などへも反映されるものと考えています。20年後、30年後もサステナブルな企業になれるよう取り組んでいきますので、引き続きご支援いただけますと幸いです。