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統合報告書

オリコの成長戦略事業面から 決済・保証事業

決済・保証事業では、中小企業・個人事業主などへの信用供与の拡大を図ると同時に、アセットに依存しない非資金性ビジネスの創出を通じて、中期経営計画の重点市場として当社の成長を牽引していきます。 常務執行役員 BtoBソリューション部門長 堀内 大輔

お客さまの幅広い決済・保証ニーズにお応えすべく、家賃決済保証、売掛金決済保証など、決済・保証事業を推進しています。

家賃決済保証 近年の単身世帯数の増加や保証会社利用率の高まりなどを背景に、入居者さま・不動産管理会社さまへ多様な商品・サービスを提供し、数多くご利用いただいています。
B2B決済サービス
(売掛金決済保証)
未回収リスクの解消、営業の効率化、経理業務の効率化などを目的に、商品を購入されるお取引先さまに代わって、支払代金を立て替えるサービスです。

中長期でのめざす姿

デジタル化の進展や経済活動が複雑化するなかで、事業者間の決済ニーズが多様化しています。決済・保証事業では、そうしたお客さまの多様なニーズに真摯に向き合い、快適で便利な決済手段を提供することをミッションとしています。お客さまに快適で安全・安心で確実・便利な法人取引の環境を構築し、中小企業・個人事業主への信用供与を拡大することで、お客さまの事業の発展やリスクコントロールに寄与します。その結果として、地域経済の活性化への貢献を果たしていきます。また、デジタルを活用しながら、社会の変化の先を見据えた商品・サービスの提供も図ります。お客さまに寄り添い、その課題を理解していくと、事業承継や不動産ニーズなど、これまで提供していた金融サービスの枠を超えた領域にも具体化したニーズがあることが分かってきています。お客さまとの関係性のなかから、当社も金融の枠を超えてソリューションを提供するなどのサポートに挑戦することで、2030年に向けてお客さまの良きパートナーとなっていきたいと考えます。

事業活動を通じて取り組むべき社会課題

事業環境が厳しくなるなかで、多くの法人のお客さまは様々な課題を抱えていますが、とりわけ中堅・中小企業に共通して大きな課題となっているのが事業承継です。経営者の高齢化に加え、過去の日本経済のなかで従業員の採用などを抑制してきた関係から、経営幹部候補の採用が後手に回り、後継者の育成が不十分であるケースが目立ちます。加えて人口減少に伴って人員の確保も課題となっており、そうした事情から、事業の縮小や整理を進める企業も増えてきています。当社では、決済・保証といった金融商品・サービスの提供にとどまらず、当社が日本全国に持つお客さまとのネットワーク、みずほフィナンシャルグループや伊藤忠商事などのパートナーのノウハウやネットワークを活用し、事業承継など、法人顧客の抱える様々な課題に対する最適なソリューションの提供にもチャレンジしていきます。こうした金融の枠を超えたソリューションの提供を通じて、法人顧客の課題解決を図り、ひいては日本経済の活性化に寄与していきます。

市場環境認識(中長期の市場変動見通し)

決済・保証事業にとって、重要な要素は3つあります。1つ目は、コロナ禍を経た、人々の行動様式(モノの買い方・働き方)の大きな変化。2つ目は、高齢化の進展に伴い、中小企業の事業承継問題の顕在化による、業界淘汰・再編の活発化。3つ目は、地政学リスクの高まり、経済安全保障の問題、SDGs経営の実現に向けた対応、更にはデジタル化の進展に付随したサイバー攻撃への対処など、事業の持続的発展のためのコスト増となります。当社は、これら環境変化に伴うお客さまの影響、ニーズを的確に捉えて、最適なソリューションを提供していきます。

事業の特徴、市場優位性

決済・保証事業は、データの統計的な分析を得意とするデジタル企業も複数参入する成長事業です。一方で、顧客を取巻く環境は複雑多岐にわたり、ヒューマンタッチによる顧客理解も重要な要素です。当社は、全国の支店やみずほフィナンシャルグループ各社のネットワーク活用により、多様な顧客ニーズの発掘や的確な対応が可能な点において、市場優位性を持っています。また、金融事業で長年培った高い審査能力を活かし、大口取引先から小口取引先までの多様なニーズに対応していくことで、他社との差別化を図っています。

強み
Strength
  • 多様な商流・資金流に対応できる、既存4商品ラインアップ(「B2B決済カード」「B2Bサポートプラン」「B2B集金制度」「スマートプラン」)
  • 大量・小口の売掛金決済保証に迅速に対応できるノウハウ
  • 全国の支店ネットワークやみずほフィナンシャルグループなどのチャネルを通じた、お客さまニーズへの的確な対応力
課題
Weakness
  • ヒューマンタッチポイントを維持・拡大しつつデジタルの力を磨くことで、お客さまのDXニーズへの対応とハイブリッド営業の実現
機会
Opportunity
  • 法人間取引のEC化や物流の進展に伴うメーカー・消費者間の直接取引の増加による、決済保証ニーズの顕在化
  • コロナ後の社会活動正常化に伴う、国内消費やインバウンドの本格的な回復
脅威
Threat
  • 地政学や自然災害などのリスクの高まりによる保証先顧客の業績悪化
  • 少子高齢化に伴う顧客商圏の縮小
  • 原材料費高騰、人件費上昇やコロナ関連融資の終了などによる企業倒産件数の増加
  • デジタル企業を始めとする新規プレイヤーの参入

2022年度の概況

家賃決済保証の取扱高が前年比9%増となったほか、売掛金決済保証も、給油・建材・食品などの主要業種を中心に、前年比20%程度増と取扱高は拡大基調継続。引き続きお客さまの法人間決済ニーズに対応し、事業発展を支援することで、市場を拡大していきます。

家賃決済保証取扱高 2020年度は9,514億円 2021年度は10,599億円 2022年度は11,530億円
売掛金決済保証取扱高 2020年度は1,342億円 2021年度は1,745億円 2022年度は2,088億円

※ クレジットカードによる売掛金決済保証取扱高は含んでいません。

2022年度のトピックス

今次中期経営計画において、重点市場と掲げた決済・保証分野の飛躍的な拡大に向け、BtoBソリューション部門を新設しました。また、マーケットイン型営業を確立する上で、中小企業の最重要経営課題の一つである後継者不在問題の解決や加盟店の出退店ニーズなどに対応していく上で、事業承継や不動産ソリューションの提供を開始しました。更に、みずほ銀行とタイアップし、同行の取引先である中小企業に対して、売掛金決済保証商品やビジネスカードの提供を通じた資金繰りや業務効率化の支援に本格的に取り組んでいます。他社協業の観点においても、クロスマート株式会社との提携による食品プラットフォームや、株式会社ライトアップとの提携による補助金・助成金自動診断サービスの提供も開始しています。今後も、金融の枠を越えたソリューション提供を通じて、当社の成長を牽引していきます。