株主・投資家情報 (IR)
統合報告書
オリコの成長戦略経営面から オリコのDX戦略
当社は、中期経営計画を達成する重要な戦略の一つとして、2022年4月にOrico DX VisionとDX戦略を策定しました。当社はデジタル技術とデータを活用し、お客さま起点で新たな価値を創造しながら社会課題の解決に貢献し続けることで、イノベーティブな先進テック企業となることをめざします。
常務執行役員
デジタル・マーケティンググループ長 向井 英伸
DX推進の背景について
この10年余りで私たちを取り巻くデジタル環境が格段に進歩したことに伴い、多くの新しいサービスが生まれ、私たちの生活様式も様変わりしました。また、最近話題の生成AIによって、私たちの仕事のやり方にも変化の兆しがみられるように、今後も様々なデジタル技術が進歩し、新たな商品・サービスが続々と登場することでしょう。
一方で、日本の労働人口が減少するなか、人の労働力に頼るビジネスモデルは限界を迎えており、企業にとって、日々進化するデジタル技術とデータを有効に活用し、効果的で効率的な業務運営体制を作り上げることは、持続的な成長を続けていくために不可欠です。デジタルに任せる部分はデジタルに任せ、人は人にしかできない価値創造にフォーカスしてビジネスに取り組んでいくという「変革」が求められていると考えています。
DX戦略
当社のDX戦略は以下の3つの戦略軸で構成しており、各戦略軸に従い、事業を通じて環境・社会課題解決に貢献する企業への変革に向けた取組を展開しています。また、DX戦略の推進にあたっては、取締役社長を本部長とするDX推進本部を組成し、全社横断的なDX推進に向けた取組施策などについて闊達な議論を通じたアイデア創出・具体化を進めています。
戦略① デジタル技術を活用した新たなビジネスモデル創出
当社は、デジタル技術とデータを有効に活用することに取り組んでいます。具体的には当社の持つ金融サービスのノウハウ・知見と、他の企業が有するデジタル技術を掛け合わせ、新しいビジネスモデルを創出しています。加えて、決済・与信をはじめとした豊富なデータを基盤とし、匿名加工した当社固有データとオープンデータを掛け合わせAIを活用した分析により、パートナー企業の営業戦略やプロモーションをサポートするソリューションを提供するなど、データエコノミーの創造に取り組んでいます。
戦略② 既存ビジネスモデルにおけるDXの実践
当社は、ビジネスプロセスの構造改革を実現するため、デジタルを活用した業務の効率化・スピードアップに取り組んでいます。特に、お客さまの当社へのお申込み手続きから、取引契約、業務オペレーションが完結するまでの「エンドトゥエンド」のプロセスを俯瞰して全体最適の観点からBPRをより推し進めています。業務のデジタル化を通じたペーパレス化により、2022年度はCO2削減効果が124tと計画を大きく上回る実績となりました。
戦略③ DX人材の育成・DXカルチャーの醸成
当社は、DXを推進する上で、デジタル技術を活用し、お客さまに価値を提供し続ける熱意のある人材を育成するため、独自のDX人材育成プログラムを開発しています。中期経営計画において、全従業員を基礎的なデジタル技術の知識・スキルを有するDX推進人材として育成することを目標に掲げ、初年度の2023年3月に3,000人以上が認定取得に至りました。加えてグループ全従業員が自らの問題意識を基に、新たなビジネスアイデアや業務の変革アイデアを発信する「DXプレイス」を開始しており、当社グループ全体にDXカルチャーを醸成し定着させる取組を進めていきます。
DX推進体制
当社では取締役社長を本部長とした「DX推進本部」を組成し、全部門・グループを俯瞰し、横断的にDX戦略を推進する体制を構築しています。本部長を議長とし、各部門・グループ長が参画するDX推進会議を定期的に開催し、全社横断的なDX推進に向けた取組施策などについて闊達な議論を通じた検討を進めています。
異業種・先端企業との協働による新たなサービスの創出
当社は、当社の持つ金融サービスのノウハウ・知見と、他の企業が有するデジタル技術を掛け合わせ、新しいビジネスモデルの創出に取り組んでいます。このような協業案件を数多く実現していくため、ベンチャー企業への出資機能として「Orico Digital Fund」を組成し、出資を含めた協業案件の発掘・創造を進めています。
本社定型業務のRPA化
当社は、2,000を超える本社定型業務を可視化し優先順位をつけて定型業務の自動化を進めています。また、各業務においてその業務の担当者が自ら自動化を進められるようにするため、RPAを開発できる人材の育成も進めています。
「DX認定」の取得
当社は、DX戦略の策定、推進体制の構築、およびDX推進への取組などが評価され、2023年3月に経済産業省が定める「DX認定事業者」の認定を取得しました。「DX認定」は、デジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている事業者を国が認定する制度です。