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サステナビリティ

第三者意見

(株)クレイグ・コンサルティング 代表取締役 小河 光生

(株)クレイグ・コンサルティング 代表取締役 小河 光生

プロフィール
早稲田大学卒業、大手自動車関連メーカーを経て、ピッツバーグ大学経営学修士(MBA)取得。三和総合研究所、PwCコンサルティングで経営コンサルティングにたずさわる。2004年に独立し、現在に至る。組織論・人材活性化論が専門分野。
おもな著書に『ISO26000で経営はこう変わる』『CSR 企業価値をどう高めるか』(日本経済新聞社)など多数。名古屋商科大学大学院 マネジメント研究科 客員教授。

社会・環境面の時代の大きな流れのことをメガトレンドと呼ぶ。このメガトレンドにどのように対処するかは企業経営の根幹に関わる。特に、金融会社は社会のインフラを提供しているため、このメガトレンドと事業そのものが密接に結びつき、かつ金融サービスを通じて、顧客企業に与える影響も大きい。例えば、自動車業界に関してオートローンの設計の仕方で、自動運転や環境対応のメガトレンドを後押しすることが可能である。また、住宅がエネルギー消費量の収支をゼロとするネットエネルギーゼロ住宅が推奨され始めた時、リフォームローンがこれと無縁に運営されることはありえない。こう考えると、トップメッセージで河野社長が言及されている通り、同社が新中期経営方針に「サステナビリティの取り組み強化」を加え積極的に取り組みだしたことは高く評価できることである。
今回のサステナビリティレポートで特に優れた点が2点ある。一つは、(14ページ)5つの重要テーマの抽出プロセスを明示している点。こうして選定プロセスを開示することは、ステークホルダーへ問題提起することにつながり、このテーマを軸に今後議論が深まることを期待させる。
もう一点は、(15-18ページ)若手社員が参加した「サステナビリティ座談会」である。若手社員が自社の強みと地域社会の課題を結び付け、例えば無電化地域へのソーラーローンの提供、キャッシュレス時代に高校生へのカード使用の出前授業など、実践的でワクワクする事業アイデアをいくつも提供している。まさにメガトレンドを意識した“攻めのサステナビリティアイデア”であり、読み応えがあるのでぜひご一読いただきたい。
一方、サステナビリティレポートを読んで、同社のサステナビリティに関しての課題をいくつか指摘したい。
一つは、サステナビリティの長期ビジョンを明確化することである。10年程度先、同社がどのような社会をつくりたいかを開示する必要があるだろう。例えば2025年までに日本政府が目標とするキャッシュレス40%、その先はどのような目標に向かって進むことになるのか。メガトレンドをどう読み、どのような社会をつくろうとするか、という意思を打ち出していきたい。その長期ビジョンを踏まえて、バックキャスティングしながら短期の行動計画を詰めていくという姿勢が今後重要になるだろう。
二つ目に環境面への取り組みを加速したい。金融会社なので環境面での貢献は少ないと思いがちだが、例えばRPA化を進めることで業務プロセスを改革できれば、紙の使用量の削減につながるし、業務効率が上がり生産性の向上にも資することになるだろう。そして、社員がそうした経験をすることで、先の座談会にも出ていたソーラーローンのようにCO2削減につながる事業アイデアなどの発想と説得力が上がってくるだろう。この点、環境面の実績数値が上がっていないことは同社の課題になるだろう。
三つ目は社内浸透である。中期経営方針でサステナビリティの強化を定めても、現場の社員が自分の言葉でしゃべることができるようにならないと取り組みは進まない。私からのご提案は、まず役員自らが研修などで理解を深めることから始めてはどうだろうか。何ごとも隗より始めよ、という言葉通り、まずトップマネジメントが最初に取り組むことが効果的である。