「総量規制」とはどういうもの?除外貸付や例外貸付とは?
記事公開日:2022年2月8日
最終更新日:2022年2月8日
貸金業者からのお借入れは、貸金業法という法律で、借りられる金額の上限が決められています(総量規制)。お金の問題は生活していくうえで切っても切り離せないため、総量規制についても理解しておくことで役に立つことも大いにあります。そこで今回は、総量規制について解説するとともに、総量規制における「除外貸付」「例外貸付」について詳しく解説をします。事前にしっかりと把握をして、計画的なお借入れにお役立てください。
「総量規制」とは消費者を守るためのもの
総量規制とは、2010年に施行された貸金業法で示されている、「貸金業者から借りることができるお金の上限を規制すること」です。より具体的にいえば、「借入総額が年収の3分の1を超えてはならない」という法律です。ここでいう貸金業者とはクレジットカード会社や信販会社、消費者金融会社などが該当しますが、貸金業者は年収の3分の1を超える貸付けを行えず、利用者もお借入れができません。
「総量規制」で定められたお借入金額の上限 | |
---|---|
お借入れする方の年収 | 上限金額 |
300万円 | 100万円 |
600万円 | 200万円 |
900万円 | 300万円 |
例えば、600万円の年収がある方は、借入金額の上限は200万円です。なお、複数の貸金業者からお借入れした場合は、借入金額の総額が総量規制の対象となります。仮に600万円の年収の方がA社で150万円お借入れしていた場合、残りのご利用可能額は50万円ということになります。つまり、別のB社で50万円以上のお借入れはできないということです。
注意点として、総量規制対象は「あくまで法律で定められた上限である」ことを留意しておきましょう。実際にお借入れできる金額は、貸金業者の審査によって決定するため、必ずしも年収の3分の1の金額をお借入れできるとは限りません。この貸金業法による総量規制については別ページでも解説をしているため、詳しくは以下をご参照ください。
総量規制の「除外貸付」「例外貸付」とは?
お借入れの契約によっては除外貸付や例外貸付となり、年収の3分の1を超えてもお借入れが可能となる場合があります。この総量規制の除外貸付や例外貸付は、「総量規制になじまない貸付け=除外貸付」と、「顧客の利益の保護に支障を生ずることがない貸付け=例外貸付」の2種類に分類されます。
種類 | 概要 | 借入残高への影響 |
---|---|---|
除外貸付 | 総量規制になじまない貸付け | ない |
例外貸付 | 顧客の利益の保護に支障を生ずることがない貸付け | ある |
除外貸付
日本貸金業協会が除外貸付と示している契約の例は以下の通り。
- 住宅ローン(不動産購入のための貸付け)
- 自動車ローン(自動車購入時の自動車担保貸付け)
- 高額療養費の貸付け
- 有価証券を担保とする貸付け
- 不動産を担保とする貸付け
除外貸付は、「総量規制になじまない貸付け」の契約です。除外貸付は、返済能力が認められれば年収の3分の1を超える貸付ができ、借入金額が借入残高に加算されません。そのため、その後の借入れには影響を与えない契約です。例えば、総量規制の上限が200万円の方が、100万円の除外貸付の契約(お借入れ)を行ったとしても、総量規制の上限は200万円のままです。
例外貸付
日本貸金業協会が例外貸付と示している契約の例は以下の通り。
- 顧客に一方的に有利となる借換え
- 借入残高を段階的に減少させるための借換え
- 個人事業者に対する貸付け
- 医療費を支払うための資金の貸付け(緊急性が認められる場合のみ)
- 配偶者と併せた年収3分の1以下の貸付け
例外貸付は「顧客の利益の保護に支障を生ずることがない貸付け」の契約です。返済が合理的に見込まれ、健全な資金ニーズが認められるものが総量規制の例外貸付に区分されます。例えば、個人事業主の方が事業用資金として現金を借入れる際、返済能力があると認められる場合には、年収の3分の1を超えていても例外貸付として現金のお借入れを行うことが可能です。
ただし例外貸付は、除外貸付とは異なり「お借入れの残高に影響を及ぼす」という特徴があります。例えば、総量規制の例外貸付となる契約により年収の3分の1を超えるお借入れを行った場合、返済をしなければさらに総量規制の対象となるお借入れはできなくなります。借入金額の上限が200万円の方が、例外貸付の契約で100万円のお借入れを行った場合、上限は差し引きで100万円となるのです。このお借入れした100万円をすべて完済すれば、借入金額の上限は再び200万円となります。
総量規制の対象となるケースは?
総量規制が適応されるのは、貸金業者と個人顧客を相手方とする貸付契約(お借入れ)となっています。例えば、法人に関しては総量規制の適用はなく、返済能力を超えない範囲でのお借入れとなります。
さらに、貸金業者に該当しない銀行や信用金庫などからお借入れをする場合は、別の法律が適用されるため、貸金業法の総量規制は適応されません。総量規制はあくまで「個人顧客が貸金業者から現金をお借入れする場合」に適応されます。
クレジットカードのお支払いは総量規制の対象となる?
ここで、総量規制とクレジットカードの関係性について解説をしておきましょう。
事例 | 総量規制(個人の場合) |
---|---|
クレジットカードでお支払いをする | 対象とならない |
クレジットカードのキャッシング(お借入れ)を利用する | 対象となる |
カードローンのキャッシング(お借入れ)を利用する | 対象となる |
クレジットカードのお支払い(ショッピング利用)に総量規制は適応されません。クレジットカードのショッピング利用は、あくまで「お支払いを後払いにできる決済手段」です。現金のお借入れを行っているわけではないので、総量規制の対象にはなりません。ただし、クレジットカードの「キャッシング」は、実際に現金のお借入れを行うため、個人でキャッシングをご利用すると総量規制の対象となります。
なお、総量規制が示されている貸金業法は「お借入れを行う消費者」を守るための法律ですが、クレジットカードにも、使用者を守る「割賦販売法」という法律が存在します。この法律について詳しくは、経済産業省の公式サイトをご参照ください。
カードローンのお借入れも総量規制の対象となる?
カードローンとは、貸金業者(または金融機関)が発行するカードを利用するローンのことです。銀行やコンビニのATMなどで現金を引き出したり、インターネットでお借入れができたりするので、急な出費に重宝します。カードローンの作成後に現金のお借入れをする際に、担保や保証人は不要です。このカードローンは、クレジットカードのキャッシングと比べて「お借入れの上限金額が高め」という特徴があります。しかし「現金を借りる」という特性上、貸金業者のカードローンで個人のお借入れの場合は、総量規制の対象となり、定められた金額以上のお借入れを行うことはできません。
なお、クレジットカードやカードローンでも総量規制の対象とならないケースもあります。例えば、「個人事業者向けのカード」は、年収(事業所得)の3分の1以上でも新たなお借入れが認められます。
オリコでは、総量規制の例外貸付商品として、上記のような個人事業主さま専用のカードを取り扱っています。個人事業主の方で、「新規事業のためのお借入れを行いたい!」という方は、個人事業者向けのカードを選択してみてはいかがでしょうか。
総量規制となる金額はどうやって判断されている?
総量規制は、年収の3分の1と上限が決められていますが、中には「どうやって判断するの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。貸金業者が利用者の年収を判断できる理由は、現金のお借入れに審査が存在するためです。貸金業者ごとに審査の内容は異なりますが、申込時の自己申告の年収や提出された所得証明書類(源泉徴収票や確定申告書など)をもとに、お借入れを行う方の収入状況を判断しています。例えば、オリコでは、以下の書類を取得証明書類として扱っています。
- 源泉徴収票
- 支払調書
- 給与の支払明細書
- 確定申告書
- 青色申告決算書
- 収支内訳書
- 納税通知書
- 課税(所得)証明書
- 年金通知書
この収入状況に加え、お借入れを行う方の支払能力や延滞情報などさまざまな情報をもとに、「これだけの金額を貸付けできる」という点を判断しています。ここでいう収入状況や支払能力といった情報は「信用情報」とも呼ばれ、クレジットカードやカードローンの発行をする際にも重要な情報となります。信用情報の基本情報や確認方法については、以下のコラムでもわかりやすく解説をしています。
総量規制を理解して正しく現金を借入れよう
住宅ローンや学費ローン、クレジットカードのキャッシングなど、お借入れにもさまざまな種類があります。お借入れを検討するうえで、上限となる総量規制は無視できません。総量規制の除外貸付や例外貸付を正しく理解して、計画的なお借入れを行ってください。
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